2003年4月24日(木)
ワープロによる遺言書の筆者はだれなのか
普通の遺言には公正証書遺言・自筆証書遺言・秘密証書遺言があります。公正証書遺言は面倒です。自筆証書遺言はその全文を自署しなくてはなりません。秘密証書遺言は自らの遺言を公証人の前で「自分の遺言だ」と宣言して封印します。
秘密証書遺言は署名さえ本人ならば、自署の必要はなく、ワープロでもOKなので便利です。ただし遺言書の「筆者」を公証人に申述します。
「私の財産はすべて○○に相続させる。」と嫁がワープロで作成した遺言書に本人が日付と名前を自署しました。公証人には「本人が筆者だ」と申述。「ワープロしたのは嫁だけれども、サインしたのが本人なのだから、本人が筆者だ」ということでしょう。
本人が亡くなって、この遺言の筆者が誰なのかが問題となり、裁判となります。多分「おじいちゃんがワープロなんか使えるはずがない」ということでしょう。最高裁(平成14年9月24日判決)では、ワープロした嫁が遺言書の筆者なのであり、その旨を公証人に伝えなかったのだから秘密証書遺言の要件がもれており、遺言書は無効だ、と判じました。「筆者は嫁だ」との一言を言わなかったばかりに遺言は無効となりました。
世の中はOA化が進んでいます。ワープロ秘密証書遺言は要注意です。(銀行法務21、2003年4月号)


